カブトムシとクワガタ

大好きなカブトムシとクワガタの飼育記

サタンオオカブトのペアリングと産卵セットの作り方


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ここではサタンオオカブトのペアリングと産卵セットの作り方について書きます。私が累代している方法と手順をご紹介します。

サタンオオカブトのペアリングと産卵セットの作り方

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ペアリングの手順とコツ

  1. ペアリングする
  2. 別居させて栄養補給
  3. 産卵セットへ投入
ペアリングの前に

まず最初にサタンオオカブトをペアで用意します。後食が始まり2か月半くらい経過した、エサをモリモリ食べている元気な個体を選びます。ペアリング前に与えるエサは高タンパクな昆虫ゼリーやバナナなどがよいでしょう。

ペアリングの適温

ペアリングは20℃前後で行います。♂♀共に十分に成熟していれば、♂をそっと♀の背後に近づけるとすぐにペアリングが始まります。サタンオオカブトの♂が♀をいじめている姿を見たことがないので、私の場合は2~3日同居させます。不安な方はペアリング終了後に別居させてください。ペアリング時に♂♀を管理するケースは底が浅く、♀がギリギリ潜れる深さがあれば十分です。

じっくり栄養補給

ペアリングを目視で確認するか、または数日同居させたら♂♀は別々に管理します。♀が産卵前に栄養補給するのを♂に邪魔させないためです。ペアリング後の♀は1週間程度は一心不乱にエサを食べ続けます。たくさん食べて十分に栄養補給すると♀はマットに潜って産卵を始めます。

再ペアリング(追い掛け)

たくさん産ませたいときには、45~60日に一度は再ペアリング(追い掛け)します。あまり頻繁だと体力を消耗させるだけなので注意してください。カブトムシやクワガタはペアリング時に、♂が♀の貯精嚢と呼ばれる器官に精子を送り込みます。♀の体内に精子が蓄えられていると、♀がペアリングを拒否することがあります。

産卵セットの作り方

用意するもの
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  • コバエシャッター(大)または衣装ケースなど
  • 完熟マット
  • 転倒防止用に造草や園芸用バークチップなど
  • エサやエサ皿など
  • ペアリング済みの♀

ケースの大きさはある程度の深さがあれば何でも構いません。今回は幅:42cm / 奥行:30cm / 高さ:26cmのケースを用意しました。ゼリー皿や転倒防止用の造草は、洗って再利用できるものが使いやすいです。

私は衣装ケースの蓋の間に100均で買った隙間テープを貼っています。コバエを中に入れない & 出ないようにするためです。さらに湿度を保つため保湿シートを一枚はさんで蓋をします。

 

 

産卵セットの手順
  1. ケースに完熟系のマットを15cmほどの厚みになるように固詰めする
  2. 幼虫の糞があればほぐしてマットに混ぜ込む
  3. 固詰めしたマットの上に、マットをふわっと重ねて深さを20cm~にする
  4. 地表には複数個のゼリーと転倒防止用の足場を用意する
  5. ペアリング済みの♀を入れる
  6. 湿度を保てるよう保湿シートか新聞紙をフタの間に挟む
  7. 薄暗くして静かな場所で管理する
マットの準備

土を袋から出して空気にさらしながらよく混ぜます。ここで重要なポイントは臭いです。嫌気発酵をおこしていると、ぬかみそが腐ったような鼻を突くような強烈なにおいがします。気温が上がる夏場は特に注意が必要です。

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もし嫌気発酵していたらよくかきまぜて空気にさらします。数日で嫌なにおいが消えて土のいい匂いに変わります。この時コバエがマットに混ざり、卵を産んだりしないよう注意してください。

マットの水分量

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マットの水分は、軽くきゅっと握ってお団子ができる量が適量です。水が指の隙間から染み出せば水分過多です。適量の判断が不安であれば、場所によって水分量を変えて実験します。♀は適した場所を選んで卵を産んでくれます。

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カブトムシが住んでいる山や森の土を少し掘って触ったら、どのくらいの湿り気があるかを想像してみます。しっとり湿っていて、ビシャビシャではないことが想像できると思います。幼虫はマットが主食になるのでここはとても重要です。

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もし、飼育中の幼虫の糞がある場合には少量ほぐして混ぜ込みます。幼虫の糞には消化吸収を助けるバクテリアが含まれているので、新しいマットに混ぜ込むことで♀は産卵に最適な環境であると認識するようです。

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産卵セットを作るときは、黒土などを混ぜた部分を作ったりしてオリジナルブレンドのマットに仕上げてから使用しています。

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産卵セットではマットを固詰めします。固詰めとは、ケース内のマットをグイグイ押さえつけて圧縮して固く詰めることです。ケース下部は特にカチカチに固詰めします。

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固詰めの際には、マットを詰める圧力でケースが割れないように下に新聞紙を敷くなど工夫してください。

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カブトムシやクワガタは転ぶと動き続けて体力を消耗するので、転んでも起き上れるように足場となる造草やバークチップなどを地表に並べます。

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セットが完了したら暗い静かな場所で保管します。布か何かでざっと覆うか、ダンボールなどをかぶせてもよいでしょう。産卵時期の管理温度は18℃~20℃が一番たくさん産んでくれます

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産卵セットのコツ

昆虫ゼリーについて

産卵セット内にはフタに十字の切込みを入れたゼリーを設置します。これは♀が産卵モードに入り、ゼリーに口をつけなくてもすぐにはカビないようにするためです。また、メスが地上に現れて食べると一目でわかるので便利です。

たくさんの卵を産んで欲しいとき

たくさん産ませたい場合には、♀が地表に現れたタイミングで新しい産卵セットに移せるよう、同じセットをもう一つ準備しておきます。がんばって産んでいるときに掘り起こすよりも、おなかが空いて地上に現れたタイミングで移せばストレスをかけません。

産卵セットは毎日確認

産卵セットに♀を入れたら毎日確認をします。振動や音をたてないように注意して、以下の2つをチェックしてください。

  • エサを食べているか(or 食べた形跡があるか)
  • ケースのフタ裏などに♀がくっついていないか
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産卵セットではマットを深くするため、地表からフタ裏への距離が短くなります。成虫がフタに張り付いていないか注意して観察してください。

私も以前、エサも食べていないし産んでいるかな!と期待していたら、フタに張り付いていたという失敗があります。

産卵モード

♀は一度産卵モードに入るとしばらくは地上に出てきません。逆に、頻繁に地上に現れる or エサを食べているときには産卵モードに入っていないことがほとんどです。この辺は人間がコントロールできないのであせらず気長に待ちましょう。

産卵してる!?

エサに手を付けず、地表にも現れない。そしてケース内からガリガリ音がすれば産卵の期待度アップです。♀は卵を産むときにケースの底をひっかいてものすごい音を立てます。すごい力でマットを圧縮して卵を産む環境を整えているのです。

無事に産んでくれていればセットから1か月ほどでケースの底や壁面に白い卵が見えるようになります。

産卵セットの割り出し

採卵する

ケース側面などから産卵を確認して、しばらく保管してから割り出すこともあります。でもあまり放置しすぎると産んだ卵を♀が潰してしまうので注意してください。

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産んだばかりの卵は細長く、しだいに丸く膨らみます。茶色っぽく変色していても孵化するので捨てないでください。ただし、ダニがくっついている卵はダメなことが多いので別にしておきます。これはダニが卵をダメにしているのではなく、ダメな卵にダニがくっついているようです。

卵の管理

できるだけそっとして、ケースに5cmほどマットを敷いて卵が密着しないように並べます。この時、金属ではなく木やプラ製のスプーンを使ってください。さらに5cmほどマットをかぶせて、保湿シートなどを使って乾燥しないように保管します。1か月ほどで小さな幼虫が現れます。

成果

今回の成果は卵72個のうち49匹が孵化しました。産卵セットは4回交換して孵化率が高かったのは2~3回目です。5か月に渡り頑張ってくれたクロミちゃんには感謝でいっぱいです。別記事に詳しい表を作る予定です。

産卵セットのまとめ

マットの深さも固詰めも水分量もあくまでおおよそです。過度に神経質になる必要はありません。特に最初は不安になりますが産むが易しです。

産卵モードに入った♀はしばらくするとおなかが空いて地表に現れます。ここで数日間食べ続けて、再びマットに潜り産卵モードに入ります。このサイクルを亡くなるまで何度も続けます。

我が家では150個近く卵を産んでくれた個体がいましたが、卵を産んだままの状態でお亡くなりになっていました。子孫を残そうとする生命の力にとても感動しました。

お読みいただきありがとうございます。

 

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